大型船の船首はなぜ丸いのでしょうか
 最近の大型船の船首はなぜ丸いのでしょうか。船が航走すると船体の周囲には波が発生しま
す。特に船首付近に発生する波は速力を低下させる抵抗となります。ここでは、この様子を図
解で説明します。

 最近の大型船の船首は写真のように丸くなっています。これは何故なのでしょうか。この様
な形状の船首を「 球状船首 ( bulbous bow)」と言います。

 船が航走すると船体の周囲には波が発生します。この波を一般に「引き波」と呼んでいます
が、特に船首付近では大きな波が発生します。船が航走して波が発生すると言う事は、船を航
走させるためのエネルギーが無駄に消費される事です。即ちスピードが上がらず、無駄に燃料
を消費する事となります。この無駄に消費されるエネルギーを「抵抗」と言います。
 因みに、真空中を飛行するロケットには「抵抗」が掛かりませんので、燃料を噴射せずに現
在のスピードを無限に維持して飛行する事が出来ます。

船が航走すると以下の様な、色々な抵抗が発生し、無駄な燃料を消費する事となります。
◎ 摩擦抵抗 --- 船体の浸水表面と水の摩擦による抵抗で表面が滑らかなほど少ない。
◎ 造波抵抗 --- 船が航走すると船首と船尾から船首波と船尾波が生じ、八字波と横波が発生し
        ます。船首横波と船尾横波が干渉し合い、特に船首横波と船尾横波の山と山が
        重なると造波抵抗は著しく増加し、山と谷が重なると減少します。
        前者の状態をハンプ(Hump)と言い、後者をホロウ(Hollow)と言います。
        造波抵抗を少なくするためには常用速力に応じた船の長さを選び、ホロウ状態
        にするべきです。
◎ 造渦抵抗 --- 船体水線下の形状が滑らかな曲線でなかったり、ビルジ・キールや舵、船尾骨
        材等の突起物の形状や位置が悪いとその付近の水の流れに渦が発生します。こ
        の渦による抵抗を造渦抵抗と言います。
◎ 空気抵抗 --- 航走中の船は、水線面上の船体や構造物に常に空気(風)抵抗を受けます。