ロープの結び方にはどのようなものがあるのでしょうか(結索)

 船で使うロープの結び方にはどのようなものがあるのでしょうか。帆船時代から、船で使うロ
ープの「結び方」や「繋ぎ方」には色々ありますが、基本的に一番大切なことは、「迅速かつ確
実」に結べ、しかも「解け難く」そして「解き易い」と言う結び方です。ロープの結び方ひとつ
で、命にかかわる危険に遭遇する事もあり、船に乗ったばかりの若い船員は先輩船員に厳しく教
え込まれます。

 ここでは代表的な結び方として「もやい結び(ボーライン・ノット)」や「まき結び(クラブ
・ヒッチ)」その他を動画で説明します。

[写真中央の三角のスタートボタンをクリックすると動画になります]

もやい結び (Bowline knot)
もやい結びはロープの先端に「環 (Eye)」を作る結び方です。 「もやう」とは、船を桟橋に「係
留」すると言う事です。船を桟橋に係留する場合、沖合から桟橋に近づいて最初に桟橋に送り出
す係留索は、通常、船首のロープですが、これを「船首係留索」と言います。英語では、バウ・
ライン(Bow line) です。このロープの先端には「アイ」が作られており、このアイを桟橋のビッ
トに掛けて船を係留します。このアイを作る時のロープの結び方を「ボウライン・ノット」(Bo-
wline knot)と言い、日本語では「もやい結び」と言います。因みに、ノットとはロープの結び目
の事です。

左の写真の「もやい結び」は簡単で間違いにくいやり方です。しかし、細いロープの時に限られ
ます。右の写真の方法は比較的に太いロープの時に適します。

左の写真の方法は「逆もやい結び」と言い、小型モーターボートを繋留する時よく使います。
右の写真の方法は、長いロープの途中の長さで繋留する時に使う方法です。

まき結び (Crab hitch)
巻き結びは係留索を桟橋のビットなどに縛る時などに使う結び方です。係留以外にも、物を縛っ
たり、物を吊上げたりする時に使われる結び方で、色々な場合に使われます。但し、場合に依っ
ては、固く締まって解け難くなったり、滑る事もありますので、長期間の係留には適さない場合
があります。英語では「クラブ・ヒッチ(Crab hitch)」と言います。 クラブは蟹の事ですから、
イギリスの漁師は獲ったカニを、この結び方で一匹づつ縛っておいたものでしょうか。カニは縛
っておかないと、隣のカニの足をハサミでチョンギリますから・・・。最近の日本の漁師は輪ゴ
ムで縛っています。

「追記」上記の説明でクラブ・ヒッチを蟹結びとして説明しましたが、此の度、当サイトを見て
下さった方から「クラブ・ヒッチ」ではなく「クローブ・ヒッチ(Clove Hitch)」ではないかと
ご指摘を受け、早速、グーグルで検索してみましたところ「クローブ・ヒッチ」が正しいことが
分かりました。「クラブ・ヒッチ」の説明については私が若い時分に先輩船員に聞いた事を本当
のことと思い、良く調べもせずに書いたもので、以前、当サイトをご覧下さった方々に対してお
詫び致します。(平成19年 1月 9日)
   参考までに次のページをご覧下さい ( http://www.goals.com/vyc/knots/clove.htm )

左の写真の方法はビットなどに結ぶ時の一般的なやり方です。結んだ後、用心の為に[ひと結び]
をしておけば完全です。右の写真のやり方でもかまいません。

係留設備にも色々ありますので、それに適した方法を選ぶ事が大切です。「まき結び」は船の係
留だけに使う結び方ではありません。

たち結び (Zigzag knot)
ねじり結び
「たち結び」はジグザグ・ノットとも言い、係留索をビットに結ぶ時などに使います。確実で、
また、固く締まる事もありません。

「ねじり結び」は係留などには使いませんが、丸太などの円材を吊上げる時などに使います。簡
単な結び方ですが張力が掛かると締まりますので、滑って解ける事はありません。

いかり結び (Anchor bend)
クリート結び
「いかり結び」はフィシャーマンズ・ベンドとも言い、小型船の錨に繊維索の錨索を繋ぐ時に使
う結び方です。錨のリングにロープで二重の環を作りますのでリングのところで擦切れることが
ありません。結び目が固く締まらず解き易い結び方です。最後の、ロープの端止めは細紐でシー
ジング( seizing )するか、または写真のようにもやい結びにしてもかまいません。

「クリート結び」は8の字を描くようにクリートに巻き止める結び方です。最後はロープが外れ
ない様に捻って止めます。クリートは大型船ではあまり使われませんが、小型船では多く使われ
ています。

一重つなぎ (Single sheet bend)
二重つなぎ (Double sheet bend)
「一重つなぎ」はシングル・シート・ベンドとも言い、ロープとロープを接ぎ合わせる時の結び
方です。解け難く、解き易い結び方です。女性が帯留めなどを結ぶ時の結び方を「本結び」と言
いますが本結びで結ぶと固く締まって解けなくなったり、太さの違うロープどうしでは滑り抜け
る事があります。従って、船では本結びはあまり使いません。

「二重つなぎ」はダブル・シート・ベンドとも言います。太さの違うロープや、滑り易いロープ
を接ぐ場合は二重つなぎにします。二重つなぎは二回巻付けていますが、三回巻付けても構いま
せん。

バック・スプライス
アイ・スプライス
「バック・スプライス」はロープの末端を解けないようにするための編み込み方です。
スプライス(Splice) とは「組み接ぎ」のことです。普通は3回ほど編込みます。

「アイ・スプライス」はロープにアイ(Eye)を作るときの編み込み方です。

ショート・スプライス
8の字結び (Eight knot)
「ショート・スプライス」はロープとロープを接ぐときの編込み方です。

「8の字結び」はエイト・ノットとも言い、ロープの先端に瘤を作るときの結び方です。手でロ
ープを引く時など、手からロープが滑り抜ける事があります。このような時には、ロープの先端
にエイト・ノットを作っておきます。

 ロープの結び方についてはこのページも参考に成ります。
      ( http://www.gutenberg.org/files/13510/13510-h/13510-h.htm )